闘いの目的

ラグビーワールドカップの日本ースコットランド戦での日本の勝利を学会参加のため滞在していた中国山東省の煙台市で知った。ラグビーは全く不案内だが、日本列島を襲っていた台風のためにこの試合が中止になることがあれば、対戦相手のスコットランドは予選リーグの敗退が決まるので、そんなことがあれば法的手段に出るの意思表示もあり、試合以外の面で緊張が高まっていたとのこと。大英帝国からの参加国である誇り高きスコットランドが予選敗退など考えられない、しかも相手が日本だなんて、という心情もよく理解できる。

結果的には前日には台風は去り、試合は予定通り行われた。大変素晴らしい内容の闘いの末、日本が勝利したのだ。試合が決行されたことで禍根を残すことがなくなり、今後ランキングが近いスコットランドと日本は好敵手であり続けるだろう。

小学校低学年の頃ホームルームの時間に「AさんとBさんがけんかをしました。話し合いで解決しようとしたのですが、どうしても解決が難しいとわかりました。さて、どうすればいいと思いますか?」という問いに対する答えを考える、というのがあった。先生の期待はおそらく「みんなで事情を聞き、解決を手伝う」というようなことであったと思う。それはわかっていたけれど、私は挙手をして意見を述べたのだ。「もう十分話し合いはしたなら、みんなの見ている前で取っ組み合いをしてケリをつけたらどうですか?」。その後ルトウィックの「戦争にチャンスを与えよ」を知るに至り、ほらやっぱり、と思ったりしている。国際紛争における大国や国連の責任が取れない形での介入やその結果が常に心に引っかかっていたからだ。

争いは争いのケリがつかない限り争いが続くのだ。そして、1人の人間の生きられる時間は限られている以上、あるところでケリをつけて新たな環境で幸せに生きられるようにるするのが自然な姿ではないか。

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地政学と距離

私が取り組んでいるのは、紛争解決のための意思決定数理モデルです。今のところ用いている枠組みは、効用を序数的に扱うため人間の直感に近く、また「状態」への選好を分析するので「状態の遷移」という考え方で物事の不可逆な生起も記述することができるGMCR(Graph Model for Conflict Resolution)という手法です。分析対象は国家間の紛争で、実際の事例としてはキューバ危機に適用して検討しています。

「紛争解決のための意思決定数理モデル」なので、国際関係論的フィールドと数学やシステム的なフィールドの両方の関わることになり、いつもこの2フィールド各々において何か関心テーマを考えているような取り組み方です。ちなみに今日は、国際関係論的には地政学なパースペクティブを切り口、数理モデル的には選好を距離で捉える、ということに興味がある、と書いたところで、地政学と(数学的)距離、これはまた何とinspiring な!とちょっとうれしくなりました。いい思いつきです。総合してまとめた論文が書きたいと思います。

写真はつい数日前まで入院していた病室からの眺めです。この病室からよろよろと這い出て予定していた学会発表を行ったのですが、やはり東京タワーにパワーをもらうことが出来たからだと思っています。シンボルは大事。

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